04.21.21:21
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05.11.17:43
大河vs涼子(そして、たぶん+綾音)
とりあえず半分位出来たので、あげてみる事にします~。
お題は「涼子ちゃんに焼き餅を焼く大河。(そして、軽くいなされる)」です。
でも、”いなされる”ところまで行き着いていません。そして、ひたすらに大河が可哀想な話になりそうな予感。
うん、吾郎ってひどい男だよ!確信した!!
とりあえず、書き殴りなんで話のテンポの悪さとかは割愛して下さい。後、アニメの内容や台詞も相当に改ざんされてますが、お気になさらずに読んで下さると嬉しいです!
(だって、あんなにあっさり引き下がる大河が嫌・・・だったんだもん)
お話の後に、拍手の返信も~。
追記:にこ姉様~!!ありがとうございます!!もうちょっとで高野連から苦情来るところでした・・・(笑)。
「吾郎くん」と呼ぶ声が耳に刺さった。
はっきりとした声、そこに含まれる柔らかな親愛。
答える彼の声には、驚きと微かな喜びが混じっている様な気がして。思わず足下に視線をそらすと、汚れた白球が転がっていた。
□□□Fomalhaut□□□
指がちぎれる様に痛んだ。それでも投げる事を選んだのは、他の誰でもない自分の意志だ。
選んだ理由には多分に吾郎が関わっていても(というか、9割は彼のためだったけど)、この碌でもない、でも愛すべき野球部のために、古くさい言葉で言うならば『人肌脱いでやろう』と思ったのは本当だった。
だが結果はこの様だ、ほんの数十球の投球で、痛めた指はあっさりと持ち主の意志に離反する。ボールを握る感覚さえ危うくなり、手の中からこぼれ落ちたそれはマウンドの上にころりと転がった。
「大河。もういい、やめろ」
それ以上、無理をするな。と肩に置かれた手の温かさに心が弛む反面、やり遂げられなかった自分の弱さに臍を噛む想いがした。自分が投げられなければ練習は出来ない。久里山は付け焼き刃の対策で勝てる様な相手ではないが、その練習すら碌に出来ないのなら、自分達の先は見えている。
「でも・・・」
俺しかいないでしょ?そう告げられた吾郎の瞳が、戸惑った様に揺れるのを見るのは、悪い気分じゃなかった。心配をされるのは嫌いでないけれど、信頼をされるのはもっと嬉しい。彼が自分も力を当てにしてくれていると実感出来るのは、更に堪らない快感だった。
「ほら、練習続けますよ」
「・・・ああ」
膝についた土を払い、転がったボールに手を伸ばすと。吾郎も迷いを振り切れない表情ながら頷いた。そして、向けられた背中を見つめながら大河が額の汗を拭った時に。
ふいに、なんの前触れもなく屋上の扉は開いた。
「あの・・・」
「綾音ちゃん?」
突然現れた綾音は、躊躇うような様子で手作りのグランドを前に佇んでいる。彼女らしくない態度に、側に立っていたマネージャーの中村が訝しげに問いかけた。
そういえば、今日の練習の始めに何故だか彼女の姿は見えなかった。用事があるらしいとは聞いていたが、顔を出したという事は、その用事は済んだのだろうか。
大河が尋ねる前に、綾寝は扉の前で一旦後ろを振り返る。
「あれ、・・・誰?」
再び中村が呟く声が大河の耳に入った。どうやら綾音は、彼女一人ではなかったらしい。
少し身体をずらした綾音の後ろから、帽子を目深にかぶった人物の姿が見えた。彼女より頭一つ分位高く細い身体。肩までの黒い髪。見慣れないユニフォームだが、野球と無関係の人物では無い事が見て取れた。
誰だ?とざわめく部員達の声を気にする様子もなく、件の人は吾郎の正面に歩み寄る。キャップの鍔を押し上げる細い指。現れた顔は、そこにいる大方の予想を裏切って、女性の物だった。
「久しぶりね、吾郎くん」
大きな瞳が微かに微笑んで、そして吾郎の名を呼んだ。その音に含まれる柔らかな響き。
「涼子ちゃん・・・?」
つきりと胸が痛んだのは、彼と彼女が知り合いらしい為ではない。大概の女性に対して、ぞんざいな言葉遣いと呼称しか使わない吾郎が(自分の姉にしたって、あれだけ長い付き合いなのに下の名前を呼ばれたためしは無いらしい)、滅多にない呼び方で目の前の女を呼んだ。たったそれだけの事で、彼らの存在は自分達から切り離されてしまったのだ。ただ、名前を呼んだ。それだけの事で。
『涼子』に向けられる吾郎の視線を見たくなくて、大河は俯いて転がったままの白球を睨み付けた。
「練習相手が必要なんでしょ?」
スライダーだったら投げられるわよ。そう言って上着を脱いだ下には、県内の大学名が入ったユニフォーム。それもレギュラーメンバーに与えられる物だ。涼子を見た時、誰もが女性だと感じなかった理由はここだろう。大学野球の、それも先発を任される女性投手なんて、ここにいる誰もが初耳だった。
「じゃあ、ちょっと投げてみても良い?」
ホームベースに田代を座らせて、涼子は投球練習を始めた。最初の一球。細い身体を縮める独特のフォームから放たれた球は、綺麗なカーブを描いてストライクゾーンから外へと逃げてゆく。
「スライダー、だ・・・」
彼女の実力を計りかねていた部員達の間から、感嘆の溜め息が漏れる。今の一球で、涼子の実力は認められたも同然だった。投球を見つめる吾郎の目にも、満足げな光が映る。
「よっしゃあ、これで、なんとかなるな!」
新たに気合いを入れ直して、吾郎はまだマウンドの横に佇む大河に駆け寄ってきた。
「・・・先輩。俺、まだ投げれますよ」
極力抑えた口調のつもりだったが、語尾が微かに震えるのを隠す事は出来なかった。俯いた顔を上げる事さえ辛くて、再度「自分は投げれる」とだけ呟くと。普段からは思いもよらない、諭すような声が降ってきた。
「大河・・・。お前は休んでおけ」
「先輩っ!」
我ながら悲鳴の様な声だったと思う。掠れながら消えた呼びかけに、吾郎が少しだけ困った顔をした様な気がした。
「お前の指、もう限界だろ・・・」
そう言われたとたんに、指の痛みがずくりと大きくなる。そして、脈を打つ度に広がる痛みは、指だけではなく全身を犯していった。
次の試合に大河の存在が絶対に必要なのだから、これ以上無理をするな。と言われれば大人しく引き下がるしかなかったけれど。
本当は、彼の前で弱音を吐きたくなかった。
本当は、彼の前で「もう投げられない」なんて言いたくなかった。
「・・・・・・はい」
―――あんたはいつも、俺の気なんて知らないんだ。
打席に立つために向けられた背中は、今までで一番手が届かない気がした。
続く。
(・・・たぶん報われないまま終わる予感)
拍手お礼
BOBOさん> 楽しんでもらえた~!?良かった~vvそう言ってもらえると、本当に嬉しいです!!BOBOさん大好き!(←ウザイ)。例のDVDは、是非とも鑑賞させていただきたいです!だって、靴下、靴下!!
yummyさん> 「ぱぱぱぱられる」OKですか?(笑)最近、色んな所でゴロトシブームなので、これも手を入れてお見せできるような状態になったら、こそっとあげたいと思ってます~。そういえば、佐藤寿也オフィシャルサイトではメルマガとかやっていないのでしょうか?あったら、是非にでも登録したい!!
してやったり気分の木綿です←ハァ?
だってホラ、aska.さんが大河を書いてくれてるよ!
しかも報われない大河を(ウハァァ)。
「吾郎が酷い男」確信したってホントですか?
じゃあ私の気持ちもわかってくれますよね?
私がなぜあんなにゴロをいてこましたいのかも←…。
続き、楽しみにしております。
しかしaska.さんって女の子を絡ませるのが本当に巧いよ…!
木綿さんからも、コメントきたーっ!!
今までも、散々報われない大河を書いてきたつもりだったんですが、今回は相当報われてません(笑)。
っていうか、ヒドイ男吾郎が全開ですよ☆
いっそ、ここまでで終わりにしようかと思っていたんですが、そうするとお題をクリア出来ないので、まだまだ大河の受難は続きそうです~。
めじゃは女の子が可愛いのも嬉しい所なんですが、最近気がついたら女の子ばっかり書いてるかも!
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