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MAJORを愛するあまりのテキストブログ。気儘に更新。当然のように女性向け。                      苦手な方はplease back! 自衛推奨派です。

04.21.17:30

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05.14.16:48

大河vs涼子(そして、たぶん+綾音)②

先週のアニメジャは凄かった・・・らしい、ですね!実はまだ見ていません(汗)。いろんな所でネタバレを見て、それだけでお腹いっぱいになってしまいました~。しかも今書いているヤツにかぶっているあたりに若干かぶり気味で、それがまた堪りません!下手に見入ってしまうと、思い切り引き摺られそうなので・・・。

大河vs涼子(そして、たぶん+綾音)のその②です。本当は今回で御荒らせる予定だったんんですが、またまた長引いて・・・。ええ、もうどうしてくれよう・・・。相変わらず大河が可哀想で、涼子ちゃんは自分でも驚くほど男前です(笑)。勝負にならないというよりも、涼子ちゃんがあんまり、そういう事(吾郎との恋愛)に興味がなさそうな話になってしまいました・・・。いや、涼子x吾郎とか真剣に好きなんですが!(ヤーノンさん、ベストリスペクトですよ!)まぁ、涼子ちゃんの恋人は野球って事で!
相も変わらず書き殴りですみません。最後まで書ききったら、推敲してサイトに移したいと思います~。



□□□

日はすでに半分以上を夕闇に譲って、残滓ともいうべき赤い光がフェンスの影を彩っている。握りしめた拳にも汗が滲んでいる。

 

「あの二人、後どれくらい練習するつもりなんだよ・・・」

誰かが、微かに呟く声が聞こえた。目の前で練習を続ける二人から視線を動かせない。投げ始めてから数時間、

涼子の投球は、すでに200球を越えていた。打席に立つ吾郎も、一度たりとバットから手を離していない。

 

 

「打たれるつもりは無いわよ」

練習相手になると言ったくせに、打たれる気はないなんて本末転倒な気もするのだが、そんな理不尽さをも許容するような雰囲気が、この二人の間にはあった。

 

「相変わらず強気だな」

でも、絶対に打ってやるから。

 

「吾郎くんこそ、相変わらずね」

でも、絶対に打たせてなんかやらないわ。

 

白球を掴む手も、グリップを握りしめる指も、汗と土にまみれて震えているのに。吾郎と涼子の表情は、この上もなく楽しそうだった。

「すげぇよ・・・」

「ああ、あの二人」

 

「本田・・・」

 

感嘆の言葉に埋もれる様にして、か細い声が聞こえた。大河が隣に目を向けると、薫がひどく苦しげな表情を浮かべながら、制服の裾を強く握りしめていた。白く血の気の引いた手が夕日の赤い色に染まる。

ああ、そうか。たぶん自分も同じ様な顔をして吾郎を見つめているに違いない。姉弟揃って、同じヤツに惹かれて同じ様に苦しんで。振り向きもしない視線の先を追っている。

こんな感情は、あの時以来だった。

 

 

 

 

「お疲れ様でした!」

購買自慢の良く冷えたミネラルウォーターの飲み口を開けると、透明な液体が吸い込まれるように喉の奥に消える。ペットボトルに続けて、綾音からタオルを差し出された涼子は別段、遠慮する風でもなく受け取ると汗にまみれた顔を拭った。

「ありがとう、綾音ちゃん」

「こちらこそ、ありがとうございました」

渇いた喉が潤って汗も引けば、夕暮れの空気は少しだけ肌寒い。

「これでスライダー対策はなんとかなるのかな?」

「ばっちりだと思います!」

「そう言ってもらえると、私も投げたかいがあったな」

 

 

「ほら、清水からもお礼言いなさいよ」

「・・・・・・ありがとっした」

「何、そのやる気なさそうな顔!」

流石に本人の目の前だった事を考慮したのか、綾音の声は小さい。むくれた様に顔をそらす大河を見て、涼子は何故か面白そうに笑った。

「別に、そんなお礼を言われる程の事はしてないから」

「・・・でも」

「私の方がお礼を言いたい位だもの」

久しぶりに吾郎くんと勝負が出来て本当に楽しかったから。あれだけ気合いの入った勝負は滅多に出来ないわよ。浮かべられた笑顔の抜けるような明るさに、綾音は一瞬目を奪われた。その笑顔が、どこかで見た事があった様な気がしたからだ。

「そっちの野球部のレベルが、あんま高く無いって事だけじゃ無いっすか」

「清水!?」

ぼそりと呟く声に、がるる、と角でも牙でも出しそうな勢いで綾音が大河の耳を思い切り引っ張る。

「すみません、涼子さん!まったく、あんたって何でそんな態度ばかり・・・」

内心泣きそうな自分を必死で叱咤しながらも、綾音の口から漏れたのはただのぼやきだ。確かに、大河はまだ投げたかったのかもしれない。でも彼の指が限界だったのは、吾郎に言われなくても部内の誰もが気づいていた。だから、大河のプライドを傷つける事になるかもしれないが。これ以上投げさせたくなかったのは、そんなにも責められる感情なのだろうか。

 

痛そうな顔はするものの、指を振り払おうとしない大河の顔が微妙に歪んでいる事に。綾音は気づけないでいた。

 

 

「・・・相変わらずってとこなのね」

小さく吹き出す涼子の声が聞こえて、俯き加減だった綾音の瞳が丸く見開かれる。

「相変わらず・・・て?」

「清水くん、リトルでやってたでしょ?」

はい。とも、ああ。ともつかない曖昧な表情で大河は頷いた。

 

 

「私の事、覚えていないかな?」

私も横浜リトルだったんだけど。

「・・・・・・覚えてるッスよ」

覚えているのは嘘じゃない。実際のプレーを見た事は殆どなかったけれど、リトルでも強豪と呼ばれる横浜リトルの歴史で女性のピッチャー。しかも、男子顔負けの活躍ぶりは知らないヤツの方が少なかっただろう。

 

「まさか大学になってまで、野球続けてるとは思いませんでしたけど」

隠すつもりもない本音だった。リトルで野球をやっていた少女達は、卒業と同時に野球をやめたり、ソフトに転向する事が多い。姉である薫もその一人だ。女性が真剣に野球を続けるには、今の野球界はあまりに障害が多すぎる。無理を押してまで野球をする意味がどこにあるというのだろうか。甲子園にも出れない、プロを夢見る事さえ出来ないこの環境で。

 

「だって、私、『野球』を続けたかったんだもの」

しかし、そんな大河の不躾とも言える言葉を、これっぽっちも気にする様子もなく。涼子はさらりと言い切った。

言下に潜む大河の問いかけを涼子は良く判っている。それは今までに幾度となく繰り返された言葉だからだ。女だからと切り捨てられても、決して諦める事が出来ない夢。

 

「どんな事を言われても『野球』を諦める事だけは、無理だったわ」

 

沈む寸前の太陽が放つ最後の光。一筋の燦めきが、そのまま彼女の瞳に映し出される様だった。



続く

□□□

次回は、大河+綾音+吾郎な感じを予定。
タイ→寿設定も絡められたら・・・。

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興味ってすきー

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  • 2007年05月18日金
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