04.21.17:42
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01.07.07:56
眉誕(完結)
そのうちにリベンジを!
め、メルフォのお返事はもう少々お待ち下さいませ~(滝汗)!!
「悪かった・・・。茂野」
あやまらせてくれ。真摯な言葉の響きに、吾郎もそれ以上の文句は言わず、腕の中で大人しく優しいキスを受け入れることにした。
□□□
これ以上は説明しなくて良い。と言う眉村と、絶対に説明する。という吾郎のやり取りは、吾郎の剣幕に押された眉村が折れる形で、あっという間に終了した。
「寿は俺で、今の俺を形成する一番大きいパーツなんだ。だから絶対に離れる事が出来ない」
それは寿にとっても『同じ』だ。大切とか必要とかそういう次元じゃないんだ。
次に、眉村のはだけた胸の、ちょうど心臓の上の部分を指さして言う。その部分には、吾郎は付けた朱い痕が残っている。
「でも、眉村(おまえ)の事は・・・」
「・・・・・・」
吾郎の涙を見たばかりだというのに、眉村の腹の底でずくりとした痛みが走る。身体は正直だ。怯えはそのまま痛みとなって、自身の愚かさを教えてくれる。その痛みを取り去ってくれるのは、彼の目の前の人物しかいなかった。
「・・・『欲しい』んだ。必要だからじゃなく、ただ欲しくてたまらないんだ」
「茂野・・・」
駄々をこねる子供みたいな理屈なのかもしれない。
絶対に切れない相手がいるのに、尚かつ別の誰かを欲しいと言うのは高慢なのかもしれない。
ただ、そこに偽りの影が無い事だけは、吾郎の瞳を見れば明らかだった。
「だから、お前は気に入らないだろうけど、俺はお前からも離れたくない」
そして今、吾郎の真っ直ぐな視線の先に居るのは、寿也ではなく眉村だ。
吾郎が欲しがっているのは、まぎれもなく『眉村』自身なのだ。
「・・・ああ」
俺も、離れたくない。
めったに囁かない甘い言葉の威力は絶大だ。
耳まで朱く染まった吾郎を抱き寄せて、眉村は幸せそうに笑った。
吾郎がこれまで見た事が無いくらい幸せそうに―――
□□□一応誕生日だし・・・。(もう過ぎたけど)
「ああ、そうだ。言い忘れてた!」
実はこれを伝えるつもりもあって帰ってきたんだぜ!イマイチ事情が飲み込めず、ああ。とだけ頷く眉村に、吾郎は笑顔でバックから何かを取り出した。
アメリカンナイズされたポップな色合いの三角錐の紙は、頂点の所からぷらりと糸が垂れている。
「それは、・・・もしかしてクラッカーか?」
吾郎の手に載っていたのは、日本の常識から考えれば、明らかに規格外とも言える大きさの物だ。
「そうだぜ!わざわざ米国(向こう)から持ってきてやったんだ、苦労したんだからな~」
特に飛行機に乗る時はどきどきモンだったぜ。等と自慢する吾郎を見れば、一瞬で、寿也の長年の苦労を分かち合った気さえする。今度会った時は、さぞかし話も弾みそうだ。
そんな新たな苦悩に気づいてしまった眉村をよそに、吾郎は嬉々として特大クラッカーの糸を引いた。
「Happy Birthday 眉村!!」
派手な割に軽い音とともに、細かく刻まれた色紙や紙テープが部屋中に舞い散る。呆気にとられた眉村の顔を見て、吾郎はまた笑った。
「これで、お前もやっと俺に追いついたな!!」
「そうか・・・、俺の誕生日だったな」
呆然としながらも、仄かに甘い感情に眉村は浸っていた。
自分のちっぽけな思惑を吾郎は簡単に飛び越えてくる。それが彼の強さであり、彼の輝きであり、眉村を魅了する全てに繋がっている。
「ほら、せっかく人が祝ってやっているんだから、何か言えよ!」
「あ、ああ・・・。すまない・・・」
「こういう時はあやまるんじゃなくて、礼を言えよ、礼を!!」
「そ、そうだな・・・。・・・ありがとう、茂野」
(ありがとう。)
いつだってそれは変わらない。
たぶん、これからも、
きっと変わらない。
End
□□□
お付き合いありがとうございました~♪近いうちに推敲してサイトにupします~。
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