忍者ブログ
03 2025/04 1 2 3 4 56 7 8 9 10 11 1213 14 15 16 17 18 1920 21 22 23 24 25 2627 28 29 30 05

MAJORを愛するあまりのテキストブログ。気儘に更新。当然のように女性向け。                      苦手な方はplease back! 自衛推奨派です。

04.20.13:00

[PR]
  • [CATEGORY:

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

10.27.10:40

長編続き

いいかげん更新しないと、自分で内容を忘れそうですよ(汗)
前回の更新から、結構経ってしまったなぁ・・・。loveにもエロにもまだまだ届かないところですが、宜しければお付き合い下さいませ~。

 

 

1軍との試合に奇跡的に勝利をし、その喜びに浸る少しの猶予もなく地獄に落とされた。



tarantella 6







それは、『地獄』なんていう生ぬるいものでさえなかった。

裏切られた怒り、突き放された悲しみ。それ以上に表現のしようも無くなったうねる様な感情の全てを「親友」というオブラートに隠して、寿也は吾郎を見送った。

そうして彼を除いた日常が始まったが、それは至って順調で穏やかな物だった。

事実、海堂高校野球部は過去から現在に至る確執も、部内の人事も刷新されて新しい空気に満たされていた。

過去から解放された大人達と、希望に満ちたチームメイト。

改革を成し遂げた本人がいなくても、何の問題も無いのだ―――寿也以外には。







 

 

 


 

―――ミットを抉るように眉村の球は飛び込んでくる。


 

一括りに『ジャイロボール』といっても、榎本の投げる球と眉村の球は違う。

そして一番長く受けていた吾郎の球とも、違って、いた。


モチベーションにひどく左右される吾郎の球と比べると、眉村の球は淡々とさえした印象だ。

だがそれは、けして“大人しい”という訳ではなく、むしろミットを押し込む瞬間の熱量は、3人の中で随一かもしれないと寿也は思っていた。


 

軽いアップのためのキャッチボールが終わると、そろそろだというようにサインが送られる。



 

―――本気の球が来る。



 

飛び込んできた球を受ける充実感は、その時だけでも余分な事を忘れさせてくれるから。


 

(今は、それだけで充分なんだ。)


 

大気を震わす音は、どこか懐かしく身体を包み込むようだ。

マウンドでボールを受ける、その瞬間の至福に寿也はゆっくりと意識を浸らせた。






 

 

 

痛みは少しも感じなかった。

ただボールを掴んだ瞬間、ミットの中で急速に握力が抜けてゆくのが判った。

何か掴んでいるようで、何も掴んでいない。

酷く気持ちが悪くてしゃがんでいる事さえ出来なかった。

乾いた音をたてて硬球がベースの前に転がってゆくのが見える。


(早く拾わないと・・・。)

伸ばした手の先がボールを掠めたが、届かない。

(冷たい・・・。)


ざりっと不快な音がして、マスクの隙間から入り込んだグランドの土が湿った香りをたてる。

(冷たい・・・な。)

「気持ち・・・わる・・・。」


駆け寄ってくる足音が、誰かを認識出来ないまま寿也は眠りに落ちた。




 

 

 

◇◇◇





白い光に網膜を焼かれる気がして、なかなか目蓋を上げる気になれない。ようやく目を開けたのは、喉の渇きだけはどうする事も出来ないと気づいたからだ。

そうして目覚めた世界においては、予想通りの明るさに顔を顰める事しかできなかった。



「気がついた?」


◇◇◇続く

 

 

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

「続く」!

私もここら辺の寿也がすごく気になっていたんです。続き楽しみにしています。

ハラハラ…←固唾を呑んでいます。

  • 2006年10月27日金
  • ハラハラ一丁
  • 編集

え?え?

続き?続きは??
凄いところで切られた気が…
気になって寝られなかったらasukaさんのせいですよ!!
(いえ、寝る時は寝ちゃいますが/苦笑)

  • 2006年10月27日金
  • cenca
  • 編集

どきどきどき

淡々としているようで引き込まれるのよ。
寿也さん、惚れそう(あ、もう惚れてるけど)

  • 2006年10月28日土
  • カイ
  • 編集

無題

木綿さま> ハラハラですか~(汗)。このお話は展開がちょっと暗めなので、寿也の扱いもちょっと可哀想かも・・・。でも、最後はhappy endを目指しています!!

cencaさん> ちょっとこの後の固まりが長くって、こんな中途半端なとこで切っちゃいました。吾郎がいつまでたっても出てこなくてイタイ・・・。

カイさん> もう、このお話は「佐藤寿也祭り」ですよ!寿也妄想に染まっています~。
もちろん私も惚れていますよ!!

  • 2006年10月28日土
  • aska
  • 編集

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら