04.20.13:00
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10.27.10:40
長編続き
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いいかげん更新しないと、自分で内容を忘れそうですよ(汗)
前回の更新から、結構経ってしまったなぁ・・・。loveにもエロにもまだまだ届かないところですが、宜しければお付き合い下さいませ~。
1軍との試合に奇跡的に勝利をし、その喜びに浸る少しの猶予もなく地獄に落とされた。
tarantella 6
それは、『地獄』なんていう生ぬるいものでさえなかった。
裏切られた怒り、突き放された悲しみ。それ以上に表現のしようも無くなったうねる様な感情の全てを「親友」というオブラートに隠して、寿也は吾郎を見送った。
そうして彼を除いた日常が始まったが、それは至って順調で穏やかな物だった。
事実、海堂高校野球部は過去から現在に至る確執も、部内の人事も刷新されて新しい空気に満たされていた。
過去から解放された大人達と、希望に満ちたチームメイト。
改革を成し遂げた本人がいなくても、何の問題も無いのだ―――寿也以外には。
―――ミットを抉るように眉村の球は飛び込んでくる。
一括りに『ジャイロボール』といっても、榎本の投げる球と眉村の球は違う。
そして一番長く受けていた吾郎の球とも、違って、いた。
モチベーションにひどく左右される吾郎の球と比べると、眉村の球は淡々とさえした印象だ。
だがそれは、けして“大人しい”という訳ではなく、むしろミットを押し込む瞬間の熱量は、3人の中で随一かもしれないと寿也は思っていた。
軽いアップのためのキャッチボールが終わると、そろそろだというようにサインが送られる。
―――本気の球が来る。
飛び込んできた球を受ける充実感は、その時だけでも余分な事を忘れさせてくれるから。
(今は、それだけで充分なんだ。)
大気を震わす音は、どこか懐かしく身体を包み込むようだ。
マウンドでボールを受ける、その瞬間の至福に寿也はゆっくりと意識を浸らせた。
痛みは少しも感じなかった。
ただボールを掴んだ瞬間、ミットの中で急速に握力が抜けてゆくのが判った。
何か掴んでいるようで、何も掴んでいない。
酷く気持ちが悪くてしゃがんでいる事さえ出来なかった。
乾いた音をたてて硬球がベースの前に転がってゆくのが見える。
(早く拾わないと・・・。)
伸ばした手の先がボールを掠めたが、届かない。
(冷たい・・・。)
ざりっと不快な音がして、マスクの隙間から入り込んだグランドの土が湿った香りをたてる。
(冷たい・・・な。)
「気持ち・・・わる・・・。」
駆け寄ってくる足音が、誰かを認識出来ないまま寿也は眠りに落ちた。
◇◇◇
そうして目覚めた世界においては、予想通りの明るさに顔を顰める事しかできなかった。
「気がついた?」
◇◇◇続く
私もここら辺の寿也がすごく気になっていたんです。続き楽しみにしています。
ハラハラ…←固唾を呑んでいます。
続き?続きは??
凄いところで切られた気が…
気になって寝られなかったらasukaさんのせいですよ!!
(いえ、寝る時は寝ちゃいますが/苦笑)
淡々としているようで引き込まれるのよ。
寿也さん、惚れそう(あ、もう惚れてるけど)
木綿さま> ハラハラですか~(汗)。このお話は展開がちょっと暗めなので、寿也の扱いもちょっと可哀想かも・・・。でも、最後はhappy endを目指しています!!
cencaさん> ちょっとこの後の固まりが長くって、こんな中途半端なとこで切っちゃいました。吾郎がいつまでたっても出てこなくてイタイ・・・。
カイさん> もう、このお話は「佐藤寿也祭り」ですよ!寿也妄想に染まっています~。
もちろん私も惚れていますよ!!
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