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MAJORを愛するあまりのテキストブログ。気儘に更新。当然のように女性向け。                      苦手な方はplease back! 自衛推奨派です。

04.22.00:12

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01.05.18:27

やっと終わりが見えてきました~♪

眉誕、やっと終わりが見えてきましたv今日の分を入れて、後2,3回で終わりそうです。完結したらサイトの方へ移動させます。

拍手お礼

藤櫨さん> こちらこそ、本当にお世話になりました~。あまり長くお話できなかったので、相当に後ろ髪をひかれつつのさよならだったのですが(涙)。また機会があれば、是非御願い致します!!気合いを入れて参加させて頂きます!(←大迷惑)。今年も藤櫨さんの千榎&薬眉楽しみにしています!!これからも宜しく御願い致します!!


眉誕>

「眉村には、解んねぇかもしれないけどよ」

同じモンなんだよ。それしか言えないんだ、と吾郎は呟く。小さく何気なく吐かれた一言だったが、その言葉は明らかに眉村の中の苛立ちを、今までに無いほど強烈に抉った。






「・・・・・・」

腕をほどき無言で立ち上がった彼を見て、吾郎も驚いたようにベッドから飛び降りる。いつも素足に触れるラグの柔らかい感触も、今は剥き出しコンクリのように冷たかった。

 

「おい、待てよ!」

 

 

「・・・お前、本当になんのためにここへ来た?」

 

肩に手をかけて振り返らせると、ようやく眉村は吾郎に視線を合わせる。その事にほっとしたのも束の間、投げかけられた言葉の冷たさに、今度は吾郎の表情が強ばった。

 

「なんでって・・・」

 

「そんなに佐藤がいいのなら、俺じゃなくてあいつのとこに行け」

 

お前らは『同じ』なんだろ。一旦重なったはずの視線を外して、眉村は脱ぎ捨てたシャツを拾い上げた。床の上に無惨な皺を寄せていたそれに腕を通し、真珠色の小さな釦に指をかける。しかし、その小さな釦が所定の位置に収まることはなかった。

 

「だから、待て、って言ってるだろ!!」

勢いよくシャツの端を引かれて、眉村の体勢が崩れる。微かな音をたてて釦が外れ、ひやりとした外気が肌を撫でた。しかし、その事に文句を言う間もなく。布を握りしめたまま離さない吾郎と、袖を通していた眉村は、そのままもつれ合うようにしてラグの上に転がった。

 

「痛ってー。・・・おい、眉村大丈夫かよ!」

倒れた時に下敷きになった眉村は、なかなか起きあがらない。まさか頭か肩でも打ったのではないかと、血の気の引いた顔で吾郎は眉村の顔を覗き込んだ。

 

「眉村、大丈夫か・・・?」

「・・・・・・」

「おい!答えろよ、眉村!!」

焦りを滲ませた声で吾郎が怒鳴りつける。それでも何も言わない眉村の顔は、硬い腕に覆われて表情が全く伺えなかった。

 

「眉村・・・、なんでだよ・・・」
その事が、まるで自分の存在を拒否されているようで、今までに感じた事が無いような恐怖感が吾郎の胸に湧いてくる。

追いつけたかもしれないと思ったのに、こんな所でまた見失うのだろうか?

そう思った瞬間に、ふいに鼻の奥にツンとした痛みが走り、食いしばった歯列の間から呻き声が漏れた。

 

「ちっくしょー・・・、ふざけんなよ・・・」

 

 

マウンドでの投げ合いで負けるなら追いかける事は出来る。でも、こんな形で眉村を失ったのなら、その時は二度と取り戻す事は出来ないだろう。そんな事は吾郎にとって、認める事も受け入れる事も出来るはずはなかった。

 

「くっそ、顔くらい見せろ・・・」

頑なに顔を見せようとしない眉村に馬乗りになり腕を掴む。体格にそう差はないはずなのだが、掴んだ腕の鍛え上げられた筋肉に、彼の才能と努力の片鱗を感じて場違いな悔しささえも生まれる。そして予想通り、無理矢理外そうとした眉村の腕は、簡単には動いてはくれない。

 

「眉村・・・」

焦りと混乱が入り混じった呟きが自然に漏れた後。唐突に、本当に唐突に眉村の腕を掴む吾郎の手から力が抜けた。

 

「あれ・・・?俺・・・」

消え入るような疑問符は、そのまま滴になって、ぱたぱたと眉村の上に降り注いだ。

 

 

□□□

 

 

腕で顔を覆ったのは、吾郎の視線が怖かったからだ。今の自分が相当に酷い顔をしている事は、鏡など見なくても解っていた。

それは“嫉妬に狂った”という方がマシなくらい、失う事を怯えた愚か者の顔だ。

 

(こんな顔を見られたいヤツがどこにいる?)

 

ムキになって腕を外そうとする吾郎に対して、眉村も子供が意地を張るように力を込める。こんな事が何の訳にも立たない事は解っていたけれど。

 

 

 

「・・・?っ、し、茂野!?」

突然感じた柔らかな水の感触に、眉村は跳ね起きた。掴む腕の力が弛んだ時は、『これで吾郎も諦めたか』と、どこか暗い安堵も覚えたが、事態はそれだけでは済まなかったらしい。

腕を濡らす吾郎の涙に呆然としながらも、身体を起こして腹の上の彼の顔を正面から見据えた。

「お前・・・」

そうやって改めて向き合うと、吾郎が少しばかり困ったような表情で笑って。顔を隠していた時以上に居たたまれない感情に、眉村は苛まれる。

 

 

「はは・・・、なんで涙なんて出てくるんだろうな・・・?」

馬鹿みてぇ。ぽつりと自嘲気味に吾郎が言葉を続けると。目尻に溜まっていた水分が、珠になって頬を滑り落ちた。

「・・・悪い」

「なんで、眉村があやまるんだよ」

「俺にあんな事を言う権利はなかった。お前が誰の事を考えていても、それは自ゆ・・・」

「ちょっと、ちょっと、待てよ!!」

お前、まだ誤解してるだろ・・・。心底脱力した様子で吾郎は溜め息をついた。零れていた涙もとうに止まって、頬には微かな白い筋だけが残っている。指で触れると少しばかりざらついたそれに、眉村は舌を這わせた。

「悪かった・・・。茂野」

あやまらせてくれ。真摯な言葉の響きに、吾郎もそれ以上の文句は言わず、腕の中で大人しく優しいキスを受け入れることにした。

 

 

□□□続く

長くてすみません・・・。

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