04.20.13:10
[PR]
10.11.15:30
ま、間に合わない!!
- [CATEGORY:TEXT/LONG(MAJOR) COMMENT:0 TRACKBACK]
今日こそ、トシゴロ話をupしようと思ってたのに、作業が遅々として進みません~。
おかしいなぁ・・・。
と、とりあえず、長編の続きとか上げちゃおうかな、と今回は何故だか、ケン・眉村の独壇場です(え;
なんでこんな事になったかなぁ(泣)
始まりは、唐突だった。
tarantella 5
授業が終わると、いつものように部室に向かう。
見慣れたピンストライプのユニフォームに袖を通すと、微かに土の香りがする。その匂いは眉村に、何故だか寿也の事を思い起こさせる。
今まで野球以外に特に心に留める必要を感じた物は無かったが、この『匂い』と連想させた『キャッチャー』の存在は、彼にとって不思議だが厭うような感情をよばない。
結局の所、眉村にとってグランドもキャッチャーも、野球をするために必要不可欠な物だからだ。
精度が良ければそれに越した事はないし、海堂が勝つためには『佐藤寿也』というキャッチャーの存在が必要な事は充分認識している。だがそれは、あくまで能力を認めていたという事に過ぎず、それ以上の必要性を眉村自身が感じた事は無かった。
だからこそ、彼には理解出来なかった。
あの男が海堂を去った時の、寿也の苦悩も悲しみも。
それは必要無かったから―――
ただ、野球をする事のみにおいては―――
その日、ブルペンでの軽い投球練習の後、ホームベースで低くミットを構えた寿也からは何の異変も感じられなかった。
肩を慣らすために放った10球程度の球を受けた後、キャップのつばを摘む軽いサインを送ると、キャッチャーマスクの向こうの瞳が頷く。
眉村も軽く頷き返すと、投球フォームに入った。
振りかぶった右腕を頂点に、全身の筋肉が連動して弾ける。
自分の全ての力は硬球に吸い込まれ。指先を離れた瞬間、白球は一つに生命に変わる。
唸りを上げ、大気を巻き込みながら走る、時速150キロの短い命。
「ストライーク!」
どしん、と衝撃の大きさを示す鈍い音と共に、それはミットに吸い込まれて無機物へと還ってゆく。
それはいつもと変わらない風景のはずだった。
「佐藤!?」
叫んだのは誰の声だったか、薬師寺だったのか、草野だったのか眉村も良くは覚えていない。ただ、ミットからこぼれ落ちる白球と前のめりにベースに沈む身体は鮮明に焼き付いていた。
「眉村!お前も、早ぅ来んかい!」
ホームベースから振り返った三宅が怒鳴りつけてくる。
ベンチから監督が飛び出してくる。倒れ込んだ寿也の回りには、あっという間に人垣が出来た。
連絡が通ったのだろう、担架がグランドに運ばれて意識のない寿也の身体が乗せられる。
チームメイトが口々に寿也の名前を呼ぶところを見ると、意識がないらしい。
それでも、眉村の足は、マウンドから一歩を踏み出す事はできなかった。
◇◇◇続く
うううう、眉村好きだけど、難しい(涙)
- トラックバックURLはこちら