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MAJORを愛するあまりのテキストブログ。気儘に更新。当然のように女性向け。                      苦手な方はplease back! 自衛推奨派です。

04.20.13:46

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10.11.15:30

ま、間に合わない!!

今日こそ、トシゴロ話をupしようと思ってたのに、作業が遅々として進みません~。
おかしいなぁ・・・。
と、とりあえず、長編の続きとか上げちゃおうかな、と今回は何故だか、ケン・眉村の独壇場です(え;
なんでこんな事になったかなぁ(泣)








始まりは、唐突だった。



tarantella 5







 

授業が終わると、いつものように部室に向かう。

見慣れたピンストライプのユニフォームに袖を通すと、微かに土の香りがする。その匂いは眉村に、何故だか寿也の事を思い起こさせる。

今まで野球以外に特に心に留める必要を感じた物は無かったが、この『匂い』と連想させた『キャッチャー』の存在は、彼にとって不思議だが厭うような感情をよばない。

結局の所、眉村にとってグランドもキャッチャーも、野球をするために必要不可欠な物だからだ。

精度が良ければそれに越した事はないし、海堂が勝つためには『佐藤寿也』というキャッチャーの存在が必要な事は充分認識している。だがそれはあくまで能力を認めていたという事に過ぎず、それ以上の必要性を眉村自身が感じた事は無かった。

だからこそ、彼には理解出来なかった。


 

あの男が海堂を去った時の、寿也の苦悩も悲しみも。


 

それは必要無かったから―――

 

ただ、野球をする事のみにおいては―――



 

 

 

 

その日、ブルペンでの軽い投球練習の後、ホームベースで低くミットを構えた寿也からは何の異変も感じられなかった。

肩を慣らすために放った10球程度の球を受けた後、キャップのつばを摘む軽いサインを送ると、キャッチャーマスクの向こうの瞳が頷く。

眉村も軽く頷き返すと、投球フォームに入った。

 

振りかぶった右腕を頂点に、全身の筋肉が連動して弾ける。

自分の全ての力は硬球に吸い込まれ。指先を離れた瞬間、白球は一つに生命に変わる。

唸りを上げ、大気を巻き込みながら走る、時速150キロの短い命。



 

「ストライーク!」


 

どしん、と衝撃の大きさを示す鈍い音と共に、それはミットに吸い込まれて無機物へと還ってゆく。

 

それはいつもと変わらない風景のはずだった。

 

「佐藤!?」

叫んだのは誰の声だったか、薬師寺だったのか、草野だったのか眉村も良くは覚えていない。ただ、ミットからこぼれ落ちる白球と前のめりにベースに沈む身体は鮮明に焼き付いていた。

 

「眉村!お前も、早ぅ来んかい!」

 

ホームベースから振り返った三宅が怒鳴りつけてくる。

ベンチから監督が飛び出してくる。倒れ込んだ寿也の回りには、あっという間に人垣が出来た。

連絡が通ったのだろう、担架がグランドに運ばれて意識のない寿也の身体が乗せられる。

チームメイトが口々に寿也の名前を呼ぶところを見ると、意識がないらしい。







 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、眉村の足は、マウンドから一歩を踏み出す事はできなかった。




 

 

 





 

 

◇◇◇続く



うううう、眉村好きだけど、難しい(涙)

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